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2011/08/16
なでしこジャパン WC優勝の背景  (私考言)


WC優勝直後にラジオ出演をさせてもらった。アメリカ女子サッカーについては研究したことがあったのでべらべらと話をさせてもらった。期を逸してしまったが、その時の話をまとめておきたいと思う。

○真の感動の意味を再確認できた

スポーツをする上で、大切なこと。
夢は見るものではなく、実現するもの。感動を与えるとは、素晴らしいテクニカルなプレーを見せることだけではない。
何点取られても勝負をあきらめない。奪われたボールは歯を食いしばり取り返す。自分の限界は自分で決めず、最後の最後までベストを尽くし全力で相手に挑んでいく。見ている人たちが、どうしてあんなに頑張ることができるのだろと思う。

それこそ真に感動するプレー。

まさに、直向きな全力プレーに感動をした大会であった。


○アメリカに勝利した意義

アメリカは名実共に女子サッカー世界一。日本は、アメリカに未勝利であった。ことごとく返り討ちにあってきた相手だけに本当に嬉しい。そして、世界一のアメリカを破っての優勝にこそ意義があると思う。
ちなみにアメリカは何を持って世界一なのか。勝利、市場、普及の好循環。トリプルミッション(※)の各要素に当てはめてみる。

一つ目は勝利。
オリンピックでは4大会中3大会(1996アトランタ、2004アテネ、2008北京)が金メダルを獲得。脅威の結果である。もちろんFIFA女子ランキング1位。この結果を見れば多くは必要ないだろう。

つぎに市場。
現在WPSのプロリーグだけでなく、Wリーグなどのセミプロリーグが全米各地にある。なにより大学サッカーがとても盛んで、NCAAではディビジョンTからディビジョンVまでが存在する。各大学では、奨学金などの制度がとても充実しておりスポーツと学業に専念できる仕組みが確立されているのは、大学スポーツがひとつのスポーツビジネスの形を成しているからだろう。女子サッカーがマーケットに浸透していることは、CMをみても明らかである。ナイキといったスポーツメーカーだけでなく、食品などの宣伝にも女子サッカー選手が多く起用されていて、人気女子プロ選手10傑には、必ずミア・ハムやワンバックといった女子サッカー選手がランクインされている。FIFA女子ワールドカップUSA1999は、アメリカが国をあげてサポートした大会であった。決勝戦はアメリカvs中国。90,185人の観客で平均視聴率は13.3%。100万世帯が視聴した計算になる。大会観客数約65万人。大会入場料収入約24億円。テレビ視聴者約10億人。この数字をみて分かるようにアメリカでの女子サッカーは立派なマーケットである。

最後に普及。
アメリカの女子サッカー人口は世界一。競技人口推定1000万人でアメリカサッカー協会登録数の40パーセント以上は女性の登録である。2007日本サッカー協会の登録選手数 は女子登録人数25,297人。これは全体の約2.8%。アメリカの女子サッカー人口の割合が多い要因にはTitle\の存在が上げられる 。簡単に述べると、教育、スポーツの男女平等法律。これによって在学男女の比率と同じだけクラブ数とクラブの予算も確保されており、女子に人気のあるスポーツであるサッカー部が多く存在しクラブが必然と増えていくことになる。予算確保もなされているので、外部から優秀なコーチを雇うことが可能でありサッカー環境を充実させている。法的拘束力あり、Title\の存在は大きな影響を与えている。アメリカが競技力で優れるのも、市場が確立されているのも普及が世界一ということが背景にあるのは間違いない。

○アメリカ戦の背景
過去アメリカには、スピードと高さでやられてきた。日本はストロングポイントであるポゼッション、協会でいう人とボールが動くサッカーで対抗。ドイツWCで、なでしこサッカーはスペインサッカーといわれていたがそうではないと思う。ベースは日本男子が目指すサッカーと同じだろう。その日本女子サッカースタイルはアテネ上田監督のあと大橋監督がベースを形成したことを忘れてはならない。大橋監督は、日本人のストロングであるディシプリン(躾、規律)を重んじ、サッカーに対する厳しい姿勢を習慣付けた。人とボールが動くことを具現化するため全員がハードワーク。大橋監督の下ヘッドコーチだったのが、現佐々木監督。日本の勝利の一要因は、日本の女子サッカースタイルの確立であると思う。

また、日本女子サッカースタイルの土台であるパーフェクトスキルの形成も重要な要因であるのを忘れてはならない。アメリカのスポーツはシーズンスポーツ。例えば幼少時から冬はアイスホッケー、夏はアメフトというように同じスポーツだけを行うことは希である。そして、大学サッカーから本格的に自分にあったスポーツを絞る。対する日本はゴールデンエイジ(即座の習得に優れた時期)にフォーカスしている育成スタイル。そうした日本独自の育成システムからなるスキルのバックボーンがあったから、競技人口の少ない日本が多くのスキルフルな選手を輩出したと考えられる。

○取り組むべき強化ポイントは
日本が、これからの強化すべきポイントはセンターバック、Gk、FW であろう。もちろん岩清水、熊谷はよいパフォーマンスでハイボール処理のタイミング、フィジカルも無難にこなしていた。ただ、これからも高さという課題はずっとついて回ると思う。GKについては、先のU17WCや北京五輪を見ても明らか。よいGKの要素として、リスクマネジメント、コミュニケーション能力、堅実な守備、高い身体能力があげられるが、特にロング、ハイボールの処理やセットプレーには一抹の不安が残る。スイーパーの役割や効果的な攻撃参加(特にGKからのフィード)に関してはよいのではないかと思う。協会の施策でスパーGk少女プロジェクトの成果が今後どのような形で現れるかみていきたい。そして、日本サッカーの永遠の課題はやはりフィニッシャー。絶対的な点取り屋が必要。今大会得点王はボランチの沢であった。点取り屋は、その国の文化の中から生まれるといわれたり、狩猟民族でないと無理なのかといわれたりするが、なでしこに後世の記憶に残る点取り屋が現れるのを期待する。

○今後の世界の女子サッカーの動向
WCU17では優勝が韓国、準優勝日本、スペインと北朝鮮が3位だ。U20をみると優勝ドイツ、準優勝ナイジェリア、韓国は3位。今回のWC優勝をあわせるとトレンドは東アジアなのかと思う。かつての東洋の魔女といわれたバレーボールや体操日本、お家芸柔道の歴史をみても分かるように、アメリカはじめ各国がユース、ジュニアユース、ジュニア世代の強化の重要性に気づき日本のトレセン制度を参考に育成の分野を強化してきた場合はこの勢力図も今後変わるであろう。これからさらなる日本女子サッカー発展のためなすべきことは、より一層の育成年代の強化、勝利をより効果的な普及活動に結びつける具体的な策を講じる必要性がある。なでしこジャパン21名を育成年代の所属チームで分類するとベレーザや下部組織のメニーナ関係が9名。横須賀シーガルズ3名名。大和シルフィード2名。栃木ジュベニール2名。クラブからユース年代は高体連という選手は9名である。少し前ほどではないが、やはりメニーナ、シーガルズといったチームがボリュームゾーンを占める。サッカージャーナリストの大住さんによるとメニーナやシーガルズのような中学生の育成に力を入れるクラブが全国各地にできれば日本の女子サッカーの選手層は拡大するのではと考えられると述べている。男子のサッカーも、日本代表の半数が静岡出身の選手だったころはアジアでもなかなか勝てなかった。しかし「サッカーどころ」と言われる地域以外からタレントが生まれ、日本代表がさまざまなところから出てくるようになって、ワールドカップに出場できるようになった。納得の見解である。女子サッカーは2012年度からインターハイがスタートする。今後は一層全国各地に名門チームが誕生する可能性があり、高校年代の強化と普及につながることが期待される。名将といわれる指導者、女子サッカー育成のプロフェッショナルが各地に誕生することを期待する。

○日本女子サッカーの今後
そして、ロンドン最終予選に絶対に勝つことが何より重要である。リーグも再開され、大会日程も厳しい。日本、韓国、北朝鮮、オーストラリア、中国。2枠という切符を簡単にとれるほどアジア予選はあまくない!今後の代表招集は若手を積極的に選び、チーム内の競争をおこしモチベーションを上げてもらいたい。ベテラン全て悪というわけでは決してないが、沢選手といえ極端な特別扱いは避けて欲しい。カズ、北沢選手の時のフランスを私は思い出す。あの時が日本男子サッカーの一つのターニングポイントとだったと思っている。世界一と浮かれている状況に危機感を感じるのは私だけではないはずだ。

○最後に
スポーツある2種類の勝利。一つは競う相手に対するもの。もう一つは弱い自分に勝つ勝利。
今回のなでしこの大活躍。
自分自身に勝つ大切さ。克己(こっき)を教わった。
ありがとう。

女子サッカー アジア最終予選/ロンドンオリンピック予選(開催地:中国/山東省済南)
9月1日(木)   日本 対 タイ            山東スポーツセンター
9月3日(土)   韓国 対 日本            済南オリンピックスポーツセンター
9月5日(月)   日本 対 オーストラリア       山東スポーツセンター
9月8日(木)   朝鮮民主主義人民共和国 対 日本   山東スポーツセンター
9月11日(日)  日本 対 中国            済南オリンピックスポーツセンター

※本大会には上位2か国が出場

(※)トリプルミッション(平田竹男・中村好男)  トップチームが勝つだけではなく、トップリーグレベルからジュニアたちに至るまで選手の裾すそ野を広げること、すなわち「普及」もまた組織の目標とされる。いくらトップが強くなっても、そのトップに憧れる子どもがいなければ、次代・次々代のトップ選手を生み出す選手層の厚みが整えられていなければ、「勝っても(将来的に)滅びるかもしれない」という不安は拭えないからだ。また、単なる1つひとつのチームの成功にとどまらず、サッカー競技・スポーツ文化の幅広い普及を視野に入れるとしたら、協会自体の収益というよりもサッカー界・スポーツ界を取り巻く市場環境の促進を目指すことが求められる。つまり、日本サッカー界のマネジメントにおいては、「勝利」のみならず「普及」と「市場の活性」もまた、その理念を達成するための重要な目標となる。これが、スポーツ組織マネジメントのトリプルミッションモデルである

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